ハーヴェイ・カープ著書『赤ちゃんがピタリ泣きやむ魔法のスイッチ』(出版:講談社)では5つのスイッチが紹介されています。
では、それぞれのスイッチについて本からの抜粋を基に説明します。
色付きの文字部分は、ハーヴェイ・カープ氏の『赤ちゃんがピタリ泣きやむ魔法のスイッチ』より引用いたしております。
5つのスイッチ
② 横向き/うつぶせ
③ 「シーッ」
④ ゆらゆら
⑤ おしゃぶり
子宮の中の状態を心地よく感じて、静かにしていた赤ちゃんだけが無事に生まれてくる。
お母さんのお腹の中は赤ちゃんが静かにしている条件がそろっているのです。
「おなかの中で胎児がかんしゃくを起こしたらどうなるか、想像してみてください。内側からパンチやキックをされたら、痛いだけでなく、胎盤がはがれたり臍帯が引っ張られたりして、重大な出血につながるおそれがあります。もっと致命的なのは、おなかの中で胎児が暴れて胎位が異常になれば、正常に分娩できず、胎児も母親も死ぬ可能性がある、ということです。」
「子宮の中にいたときの環境に近づけてあげると赤ちゃんがなきやむことは、何千年も昔から知られていました。だから、昔から世界じゅうのママやパパが赤ちゃんを布でくるんだり、揺らしたり、「シーッ」と声をかけたりしてきたのです。」
第一のスイッチ「おくるみ」

「おくみにくるまれると、赤ちゃんは狭い子宮の中にぴったり収まって全身が何かにくるまれていた感覚を思い出して安心します。」
「泣きむし赤ちゃんには、自分の腕がばたつくのをコントロールする能力がありません。だから、両腕を自由にしたらますます大騒ぎして、大泣きしてしまいます。」
私の子供にあった例ですが、生後2ヶ月の頃、ある日突然泣き出しました。原因を探したのですが、おっぱいでもオムツでもありませんでした。よく見ると右手で自分の髪の毛をつかんで泣いていたのです。赤ちゃんは手に触れたものは?んでしまいます。これは落下の危険を防ぐ動作と思われます。手に触った髪の毛を掴んでしまったのですが、離すことができず泣いていたようです。
赤ちゃんはまだ、自分の思い通りに手足を動かせないのです。まず、この暴れてしまう手足を大人しくさせてあげましょう。
また、長い間子宮の中にいた赤ちゃんは身体に何も触れていないことが不安です。いままでは、せまい子宮の壁がぴったりと体にくっついていたのですから。
友人の子供の話ですが、生まれた瞬間に大泣きが始まって、体のサイズを測るために巻尺を頭に巻いたら、泣き止み、離すと泣いて、また、体に巻くと泣き止んだそうです。
まず、不安を取り除いてあげましょう。
第二のスイッチ「横向き/うつぶせ」

「横向き/うつぶせ」の姿勢は、赤ちゃんを安心させる働きがあります。ヒトの祖先にとって、母親の胸から落ちることは命にかかわる脅威だったので、赤ちゃんには特別な警戒システム(モロー反射)が備わり、落ちると感じた瞬間に反応するようになっています。ほとんどの赤ちゃんは、ごきげんのいいときは、あおむけに寝かされてもぐずりません。でも、泣いているときあおむけに寝かされると、赤ちゃんは落下の錯覚を感じてモロー反射を起こし、バタバタと騒いで泣き 叫ぶのです。
横向きかうつぶせに寝かせるとモロー反射が遮断されるので、泣き叫んでいる赤ちゃんは少しおちつきます。泣きむし赤ちゃんは、この姿勢を心地よく感じます。ただし、眠るときは、どんな赤ちゃんについても、あおむけが最も安全な姿勢です。お医者さんから指示されたのでないかぎり、赤ちゃんをうつぶせに寝かせるべきではありません。」
この「うつぶせ」については、赤ちゃんが安心するのは確かなようですが、事故の例もありお勧めできません。他の方法で赤ちゃんを安心させてあげましょう。
その一つに赤ちゃんの抱き方があります。この本でも紹介されているのですが、少し力が必要なのでお父さんにお勧めです。片手で抱っこしてあげてください。
きっと喜びますよ。
第三のスイッチ「シーッ」

「信じられないかもしれませんが、耳ざわりな「シーッ」という音は、赤ちゃんには心地よく聞こえます。「シーッ」という音はおかあさんの血流の音に似ていて、子宮の中にいた九ヶ月間、赤ちゃんはいつもこの音を聞いていたからです。」
プールの中やお風呂で水の中に潜ってみると、水の音が途切れずにしているのがわかります。
まして、お母さんのお腹の中は呼吸や血流、いろんな音がしているはずです。この音を欧米では「ホワイトノイズ」と呼び、その音を出すおもちゃも売られています。
私はこのおもちゃをいただいたのですが、子供を寝かすのにとても役に立ちました。
第四のスイッチ「ゆらゆら」
「安定したベッドに身を横たえるのは、大人にとっては至福ですが、生まれたばかりの赤ちゃんにとっては空間の感覚が狂って不自然な感じがするようです。新生児は九ヶ月を海で過ごしたあと陸に上がった船乗りと同じで、急に揺れのない環境に置かれると調子が狂ってしまうのです。だから、単調なリズムで軽く揺ら してあげる動きが、赤ちゃんをあやす方法として昔から広く使われてきたわけです。赤ちゃんが泣き叫んでいるときは小刻みに速くゆらしてやり、大泣きがおさまってきたら、だんだんとやさしい揺らし方にしてあげるといいでしょう。」
不思議と私たちは子供をあやすときに抱いて揺らします。もしかすると、この「ゆらゆら」は本能的に組み込まれているのかもしれません。しかし、揺さぶられっ子症候群などの報告もあるので、優しくゆらしてあげてください。
私の子供の場合、この4つのスイッチで泣き止まなかったことはありません。もっとも、お腹が空いているとき、おむつを替えて欲しいときは別で、それが満たされればおさまります。
第五のスイッチ「おしゃぶり」
「「おくるみ」と「横向き/うつぶせ」と「シーッ」と「ゆらゆら」で赤ちゃんの大泣きが少しおさまってきたら、最後の仕上げは「おしゃぶり」です。泣きがおさまってきた赤ちゃんは、何かをしゃぶることによって、一層おちついた状態にはいっていけるのです。」
正確に言うと、おくるみにくるむ行為そのもので赤ちゃんが泣きやむわけではありません。
おくるみ自体は、鎮静反射を起こす刺激ではないのです。新米ママや新米パパは、このポイントで混乱してしまうようです。
事実、おくるみでくるむと、最初は赤ちゃんがますます大泣きするので、それを見て、おくるみは効果がない、とあきらめてしまうママやパパが多いようです。
それでは、なぜ、おくるみが赤ちゃんを泣きやませる最初のステップなのでしょうか?
それは、赤ちゃんをくるむと、あなたが次にしてあげようとすること(これが鎮静反射を引き起こす刺激です)に対して、赤ちゃん側の受入れ態勢ができるからです。
実際に「シーッ」と声をかけたり揺らしてあげたりする前に、この準備段階が必要です。
ですから、おくるみでくるんだ直後に赤ちゃんがいっそう大泣きしても、気にすることはありません。
そのあとに、続けて四つの「スイッチ」をやってあげれば、赤ちゃんはきっと満足するでしょう。
私の子供はおしゃぶりがうまく使えませんでした。
これはオマケのようですので、これまでのスイッチで落着くようであればなくても大丈夫だと思います。
最後にこのおくるみを使ったお母さんの話が載っていたので紹介します。
「ワイアットが生後2ヶ月のころ、両親は、夜、ワイアットをおくるみでくるんでホワイト・ノイズを流しておくと5時間眠るけれど、両手を自由にして部屋を静かにしておくと3時間しか眠らないことに気づきました。
ママのリーザが、こんな話をしてくれました。
「おくるみの威力は、ありがたいと思いました。でも、癖になったらどうしよう、と思うと心配で、ワイアットが生後3ヵ月になるのと同時に、おくるみを使わずにベッドで寝かせるようにしたんです。
それで、万事順調に見えたのですが、1ヶ月後に突然、ワイアットが夜2時間ごとに目をさまして泣き叫ぶようになりました。歯が生えかけているんじゃない か、とか、急成長期のせいではないか、などと考えて悩みました。4ヵ月健診のとき、わたしはこのことをドクター・カープに話しました。ドクター・カープ は、おくるみとホワイト・ノイズを復活させてみてはどうか、とアドバイスしてくれました。正直なところ、ワイアットはもうおくるみにくるんでほしがるよう な赤ちゃんではないと思ったんですが、とにかく藁にもすがる思いでした。
ふた晩で、ワイアットは変わりました。それまでひと晩に5回も目をさまして泣きわめいていたのが、1回だけ目をさまして、ミルクを飲んだらすぐにまた眠って、朝の6時までぐっすりなんです!装置で滝の水音を聞かせたんですが、それもずごく気に入ったようでした。」
「ほんとうに、おくるみがすべてのカギだったんです!長男のイーライはおとなしくおくるみにくるまれてくれたんですけど、次男のベンジーはありったけの力で 抵抗しました。でも、おくるみにくるまないと、揺らしても、おしゃぶりをくわえさても、「シーッ」をやっても、効かないんです。
「5つのスイッチ」を何日か練習してからは、よく眠るようになりました。いま、ベンジーは、生後6週間です。本当なら最悪の時期なんでしょうけれど、とっても育てやすい子です。お昼寝もたっぷりしますし、夜は途中1回ミルクを飲むだけで、7時間から9時間も眠ってくれます。
お昼寝のときは、スウィング・チェアに乗せて速いスピードで揺らし、ホワイト・ノイズをかなり大きい音でかけておきます。お昼寝は、なるべく何回もさせ るようにしています。ベンジーは興奮しやすいので、昼間に長いこと起こしておくと、神経がなかなか鎮まらないんです。それで、あの子がぐずりだすと、わた しは「それ来た!」とばかりにあの子をスウィング・チェアにのせるんです。
むずかしい赤ちゃんをお持ちのおかあさんには、ぜひ、この方法をお勧めします。昼も夜もずっとあの子を抱っこしていたら、いまごろ自分がどうなっていたか、想像もできません。わたしにとっても、ベンジーにとっても、ほんとうによかったです。」
この本から学んだこと

私がこの本を読んでよかったと思うのは、赤ちゃんがなぜ泣いているかを考えるのにとても役に立ったところです。
痛がって泣く、具合が悪くて泣く、というような事をのぞけば不快な状態を解消してあげれば泣き止むと考えています。
これをヒントに泣く原因を考えていけば幸せな子育てが始まると思います。
おくるみはクスクシュのものでなくても大丈夫です。
しかし、この巻き方をするのには多くの市販のおくるみでは小さくてほどけてしまいます。
ハーヴェイ・カープ氏のおくるみの使用法を行うには伸縮性のあるフライスのおくるみが適していると思います。
親の赤ちゃんに対する、不幸な事件が報道されたりしますが、「泣き止む」ことで、起きなかったケースもあるのではないかと思います。
こうした事件が一件でも少なくなるように、お困りのお母さんがいたら、ぜひこのスイッチのことを話してあげてください。